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             _/_/ メールマガジン 『語ろうか、手話について』   _/_/
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No. 23                                              2000年12月 6日発行
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  みなさん、こんにちは。12月最初の「語ろうか」です。いよいよ忘年会、ク
リスマス会の季節となりました。私も先日、熊のかぶり物に入ってパラパラを
踊ってしまいました。サークルではイベント担当者が頭を悩ませる時期ですよ
ね。クリスマスなどで使える企画といった意見が集まったら特集としてお送り
したいと考えているので、何か良い案があれば気軽にご意見をお寄せ下さい。

  ところで、言葉の学習について、興味深いWeb Pageを見つけました。英語通
訳者による他言語を話す方法について解説したページです。この中の聞き取り
(手話で言うと読みとり)の力が話す力にもつながっている、そのためにシャド
ウイングが大切だという話は、「語ろうか」のNo.5でも少し触れていますが、
このページの解説はとてもわかりやすくなっています。また、英語での考え方
という話を手話の場合で焼き直すとどうなるだろうと考えるのも良い勉強にな
るでしょう。興味のある方はご覧下さい。
  「脳に英語の回路を作る」
   http://www.geocities.co.jp/Hollywood/2345/kairo.htm

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  最近、小難しい話が続いたせいか、寄せられるお便りにも「参考になりまし
たが、もう少しわかりやすい話を」という声が多くなっていました。その反省
を込めて、今回は手話サークルについて考えてみます。題して「サークルのあ
り方」です。

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  振り返って考えると、自分は幸運にも手話について色々な面を見てきたと感
じます。初級講習会で人並みに手話の講義を受けて、数年ほどサークルで活動
してきました。それから県サ連で各地のサークルを見てきました。そして県サ
連代表としてろう運動を見てきました。しかも、いいとこ取りで、ほとんど傍
観者のように見せてもらいました。そして、大学では手話をテーマに研究活動
を行い、学会に行ったり、珍しい機械を見たり、言語学に触れてきました。
  手話との関わりを持っていこうとするなら、昔は手話サークルぐらいしかな
かったと思いますが、今では色々な方法があります。私は健聴者ですからおの
ずと制限されることもありますが、それでも学習者として、運動家として、研
究者として、全然別の面からアプローチすることは可能です。

  そんな私が最終的に力を入れなければならないと思うのは、手話サークルで
す。これはやっぱり特別です。

  あまり海外のことはよく知らないのですが、アメリカには日本の手話サーク
ルというものは存在しないようです。専門的な手話の勉強は大学の通訳課程で
できるそうですし、一般の人は大学の公開講座で勉強するそうです。そして、
最も普及している方法は、教会を中心にした学習会です。私には信仰というの
はよくわからないのですが、障害者に対する哀れみとか、布教の義務感だけで
は説明できない、何かとてつもないパワーを感じます。生活から宗教が薄れて
いる日本では、海の向こうで発生した概念であるボランティアがてんでばらば
らに解釈されるのは仕方ないかなと思います。

  さて、日本の場合、宗教活動は否定的な印象があるので、アメリカとは状況
が違います。大学にも手話の講座なんてほとんどありません。(最近では、ボ
チボチ登場していますが、気軽に受けられるレベルになるまではまだまだです
ね。)というわけで、教会ではなく、手話サークルがあります。政治にも宗教
にも染まっていない団体で、志がほぼ同じという人が全国津々浦々自然発生的
に存在するというのは不思議というか、奇跡的という気がします。

  このような手話サークルは何かに縛られていないという点で自由な活動がで
きますが、どうにもうまく歯車が回らないような状況も出てきます。ろうあ者
が来なくて単なるおしゃべりの場になってしまったり、役員と一般会員の意識
が離れていってしまったり、活動内容がマンネリになってだんだん人が減って
きたり。改善しようとして手探りしているような状態、皆さんも、経験あるん
じゃないですか?

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  サークルの問題についての特効薬なんてものはなくて、地道に改善していく
しかないなぁ、と個人的には感じています。それでも、方向として、こうして
いった方が、まぁだいたい間違いはないだろう、というものはあります。それ
が以下に紹介する「手話サークルの関する指針(案)」です。

  先月の初めですが、石川県の県サ連一泊研修会に参加して、この文書をも
らってきました。実は、私は、この文書の存在を手話サークルに入ってすぐの
頃に聞いたのですが、実体はわからずじまいでした。その後、県サ連の役員に
なってからろう協事務所に出入りするようになって、その気になればすぐに入
手できる状態ではありました。が、すでに周りから色々な知識を授かって、自
分もある程度の考えを持ってサークル活動をしていたこともあり、文書を読む
までには至りませんでした。
  そして先月、一泊研の代表者会議(県内の手話サークルの代表者が集まり、
色々な議題を討議する場です。)で、県ろう協の対策部より、この指針が提示
されました。対策部長の鴻野さんによれば、これが全日ろう連から出たのは昔
の話ですが、まだ決議されていないのだそうです。それで来年あたりに議題と
なりそうなので、石川県内でこれを検討し、意見を出したい、それで今回持っ
てきた、とのことでした。
  情提が終わり、設置通訳者もある程度の成果を出して、息つく暇もなく走り
続ける石川のやり方にクラクラしながら、そして活気ある状態に羨ましく思い
ながら、今まで存在しか聞いていなかった文書に対面した次第です。

  今週から、何回かにわけてこの指針を中心に話を進めていきます。指針自体
は、前文、指針の前提、サークルの目的、サークルの組織、サークルの活動、
ろう団体との係わり、全通研との係わりと続きます。代表者会議用に抄訳され
た文書だと思うのですが、「語ろうか」で取り上げるには手頃な長さと思うの
で、これで行きます。機会があれば完全版を紹介しますので、ご容赦を。

  では、まず前文から。

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                  手話サークルに関する指針(案)

前文

  「手話のできる専任の福祉司を」などのろうあ者の「手話コミュニケーショ
ン」への願いに呼応した民間の手話グループが、昭和38年頃に手話サークルを
結成し、その先進的な取り組みが全国の主要都市に広がり、昭和45年に国と地
方自治体の事業による手話奉仕員養成事業が開始されました。
  ろうあ者の要求を受けて、国が初めて実施することになったこの手話関係事
業は聴覚障害者団体等の積極的な取り組みにより、全国的な手話講習会の開催
とその後の手話サークルの結成となって発展し、(財)全日本ろうあ連盟はこの
流れに合わせて昭和51年に「手話サークルに対する基本方針」を発表しまし
た。
  それは、ろうあ者の生活を高め、権利擁護の理念を具現化する道標となるも
のでした。
  この方針に沿った全国的な取り組みが手話人口を飛躍的に拡大させ、ろうあ
者の社会参加促進する手話通訳設置事業の前進となりました。また、手話通訳
の専門性や身分保障を問う手話通訳制度調査検討事業の着手と国民の1%(120万
部)を目標としたアイラブパンフレットの普及運動に大きな役割を果たしまし
た。
  そして今、国の公認試験である「手話通訳技能審査・証明事業」が行われる
ようになり、一方、全国手話通訳問題研究会の組織化も進み、ろうあ者福祉や
手話問題幅広く、質的な深まりを持って追求される時代を迎えています。この
時期にあって、手話サークルを「日本における聴覚障害者の基本的人権の回復
と社会参加の拡大に大きく貢献した存在」として評価しつつ、その設立の意義
と運動の経過を整理し、新しい時代に向けての指針をここに示すものです。

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  この文書は全日ろう連の考える手話サークルのあり方を示したものです。
  サークルは健聴者の団体なので、誰になんやかんや言わるのは心外な人もい
るかもしれません。それはある意味、私も理解できます。しかし、この文書に
は過去に起きてきたサークルでの問題に対して、なんとか解決していきたいと
いう聾者側からの意気込みを感じ、ここに紹介する次第です。

  この前文だけでも「語ろうか」のテーマになりそうな話がいくつかあるので
すが、ここでは簡単に、まだ手話を学び始めた人向けの解説だけをしておきま
す。
  前文にある昭和38年に誕生した手話サークルとは京都の「みみずく」のこと
です。サークル活動が通訳者養成事業にまでつながっていく様子が簡潔に述べ
られていますが、みなさんのサークルではそこまでの活動はできていますか?
正直な話、今の私はちょっと無理です。

  アイラブパンフ運動はご存じでしょうか? 手話について書かれた小冊子を1
冊200円で販売した活動です。私が手話サークルに入る前の話なので、この活
動については先輩の体験談を聞いただけです。石川県では1%というと約1万人
です。そんな数を売るなんてとても無理だと思ったそうですが、最終的には2
万部を売りさばいたそうです。ろう協役員の家には在庫が沢山あるなんて話も
聞かんでもないのですが、それはさておいても、かなりの数が、それを手話に
なんの関わりも持たない人に広まっていったのです。皆さんはこのパンフを
持っていますか? 今となっては貴重な資料に成りつつあるので、役員の在庫か
ら少し譲ってもらうことをお薦めしますよ。

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  「文章に引用が多くて、手を抜いているような気がする」と思った方、正解
です。最近疲れているので、しばらく手を抜かせていただきます。

  では、また来週。

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