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             _/_/ メールマガジン 『語ろうか、手話について』   _/_/
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No. 27                                              2001年 1月 3日発行
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  明けましておめでとうございます。
  今年も「語ろうか」をよろしくお願いいたします。

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  年明け早々すみませんが、マシンの再インストールなどで手違いがあって、
1月2日〜3日早朝までのMailが紛失してしまいました。もし、その時間にご意
見を送ってくださった方がいたら、すみませんが、再送をお願いします。

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  新春最初の「語ろうか」のテーマをに何にするか、とても悩みましたが、21
世紀になったことですし、歴史的な話をしたいと思いました。そこで年末にい
いものを買ったことを思い出したのです。それは新聞の縮尺版です。「日本聴
力障害新聞」をご存じでしょうか? 全日本聾唖連盟が月1で発行している新聞
です。年末になんと縮尺版7分冊を在庫処分セールで1万円で売っていたので、
思わず買ってしまいました。
  ということで、この1万円を有効活用すべく、昔のことを振り返るべく、今
年の「語ろうか」では、この縮刷版からいくつかの記事をピックアップしてい
きます。21世紀を迎えるにあたって昔のことを知っておくのは無駄にはならな
いことでしょう。

  しかし、私も手話の世界に入ってわずか10年。縮刷版に書いてあることは全
然知らないことばかりです。ですから、記事を紹介しますけど、詳細などはわ
かりません。そのあたりをご存じの方がいたら、是非、フォローをお願いしま
す。

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  さて、最初に日聴紙のご紹介を。

  日本聴力障害新聞、略して日聴紙(にっちょうし)。なぜ略称に「紙」が入っ
ているのかはなぞですが、語呂がいいためか「にっちょうし」と呼んでます。
この新聞は(財)全日本聾唖連盟が毎月1回発行している新聞です。内容は聾唖
関係のニュース。これを読んでいれば、全国的な話題はだいたいわかるという
ものです。基本的な知識を抑えておくためにも購読をお勧めしておきます。ど
このろう協でも申し込み用紙はあると思いますが、たぶん直接連絡しても大丈
夫なはず。年間購読料は3,000円です。発行所は以下の通り。

  (財)全日本聾唖連盟 日本聴力障害新聞 編集部
  京都市上京区室町通今出川下ル
  FAX : 075-441-6147
  Tel.: 075-441-6079

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  では、記事を見ていきましょう。
  縮刷版は7分冊。それぞれかなりのボリュームがあるので、しばらくはネタ
に困りそうにないですね。ふふふふふ。

  最初の巻は1948年から1973年。最初のあたりは残っていた昔の新聞を手に入
るだけ載せてあるだけという気がします。最初に載っているのは「聾唖月報」
という戦前の新聞です。昭和6年6月15日第1号、日本ろう教育会、徳島聾学校
の敷地が増えるといったことと同時にろうの少女が聞こえないために電車を乗
り越したとか、聾唖のふりをして盗みを働いた人がいたとか、意外と週刊誌的
なことも載っています。でも、旧字体なのでひじょうに読みにくい...

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  日聴紙は昔は「日本聾唖新聞」という名称だったそうで、これは昭和23年5
月号から昭和26年12月号まで続いています。昭和26年というと1951年。私が生
まれる20年以上前の話ですから、社会的なことさえも私には、よくわかりませ
ん。新聞が「日本聾唖新聞」として復刊したのはヘレンケラーが来日したのを
記念してのようです。ヘレンケラーと言えば、見えず、聞こえず、話せずの3
重苦の人と、子供の頃に伝記で読んだ人。当時の記事を見てみます。(著作権
の問題があるので、必要最小限の引用とします。それと旧字体は変換していま
す。)

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  ヘレンケラー女史  再度日本へ!

  日本国民が長い間真心を込めて待ちもうけていたジョルトン協会総裁ヘレ
  ン・ケラー女史は三重苦の長身をクオンタズ航路の銀翼のランカストリア
  ン号に乗せて8月29日午後4時25分マニラから山口県岩国飛行場着、再度日
  本に来朝した。
  秘書のトムソン女史に手をとられながら旅客機から降り立ったヘレン・ケ
  ラー女史は薄紺のスーツの下に真白い絹のブラウスをのぞかせ白髪を混え
  た頭髪を大きな紺のリボン付きの白のターバンで結んでたえずにこやかに
  ほほえみ、その額は69歳の年齢と思われないほど健やかなものだった。
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  来日は毎日新聞のバックアップで行われたようで、ほとんどの記事は毎日新
聞からとなっています。ヘレン氏は東京、大阪で講演をして、他にも北海道や
ら名古屋あたりを訪問して、日本を離れたようです。東京、大阪以外の記事が
ほとんどないのと、離日した記事がないので、その様子がわからないんですよ
ね。新聞としていまいち。

  ヘレン氏の来日で色々なイベントがあったり、表彰が行われています。さす
が有名人ともなると、来日するだけで、すごい影響があるものだなぁと感心し
てしまいます。が、記事として注目したいのは、大阪タイムスの当初らしい次
の記事。

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  聾唖者より
  従来愛盲偏重の傾きがあったが今度は平等に
  (略)
  前回のヘレン・ケラー女史来朝の時盲人運道を主として、聾唖者に対する
  運動がなかったのを残念に思っていたが今度は是非私たち聾唖者にも盲人
  と同じく愛の手をのべて欲しいまたヘレンケラーキャンペーンでも盲人運
  動の方により多く資金を使っている傾きさがあると聞いたが平等に使用し
  て欲しいものだ。
  しかしこの資金問題と同様ケラー女史歓迎準備会委員に聾唖者代表として
  学校長のみxx(この部分漢字が読めません)しているということは少々片手
  落ちだと思う。
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  いつの時代にもこういう話があるんですね。盲と聾、難聴者と聾唖者。分類
あるところに綱引きありって感じで、これはいつになってもなくなりそうにあ
りませんね。

  さて、聾唖者の代表として学校関係者が出ることは少なくなってきて、今で
はどちらかというと学校関係者は全通研などの健聴者代表となっています。そ
れだけ学校にろう者がいないという証拠なんでしょう。今後、聾学校にろう者
が増えてくると、この投書とは違う状態で学校関係者が代表として参画するよ
うになるんでしょうか。

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  昭和24年は全日本聾唖連盟の転換期。というのは、5月に財団法人として設
立されるからです。代議員大会は金沢で開催されたそうです。財団法人石川県
聾唖福祉協会も同時期に設立されたそうです。以前、自分がいた地域は、京都
に並ぶ拠点地だったのだったんですね。知らなかった...

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  このころの新聞を読んでいて気がつくのが、聾唖のことを「ローア」、そし
て「手話」という単語が全然出てこないのです。昭和24年7月1日号の天皇陛下
が九州に行ったことを報道する記事では、写真の下に「天皇陛下、手まねの通
訳、井内千鶴子氏」という説明があるぐらいです。「手まね」ですよ。現在は
手まねと手話は明確に分離して考えられていて、身振りなどの言語ではなく、
人間の感情の表れとしての動きを手まねといい、言語として考えられているの
が手話とされています。手まねというのは、聾学校において「手まねを使うも
のは頭が悪くなる」と言われたりしたので、とても印象が悪いのですが、それ
を新聞で使うのですから、まだ手話が一般世間だけではなく、聾の世界でも手
話という概念が確立していなかったようです。
  
  そう思って新聞を見ていると昭和24年11月1日号に「珍しい 純口話の演劇」
という記事を見つけました。場所は大阪。大阪聾友会が口話だけの劇を演じた
とのこと。役者が横を向くと台詞がわからないので、感動は少なかったとあり
ます。というように口話が否定的に書かれているということは、手話が主体で
あることは事実だったのでしょうかね?

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  さて、最後に数年前にTBSあたりで取り上げられて大騒ぎになった記事。昭
和24年11月1日号から抜粋。

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  強制断種手術は本人の同意がなくてもできる

  優生保護法の規定により強制断種を行う場合、従来は憲法に規定させられ
  た基本的人権を尊重する意味で、本人の同意を必要とするものと解されて
  いたが、もし本人が承知しなかった場合の方法について厚生省より法務府
  にその見解を質したところその回答がきた。
  そのによると断種手術が社会の共存公益上必要であるという医師の認定及
  び都道府県優性保護委員会の決定等正規の手続きがあった場合は、本人の
  身体を拘束し、麻酔薬を使用し、または騙す等の手段を使用して強制的に
  手術を行ってもよいというのである。
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  つまり、本人の意思に関係なく避妊手術しても合法だという話です。これは
聾者が結婚して子供を産んでも生活が大変だろうと、家族や周囲が勝手にろう
者に避妊手術してしまった事例があるんです。プライバシーの問題があって、
あまり調査は進んでいないようですが、その数はかなり多いらしいです。なん
ともむごい話です。

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  では、また来週。
  今年も、ご意見、文句をよろしくお願いします。

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