◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ _/_/ メールマガジン 『語ろうか、手話について』 _/_/ _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ No. 31 2001年 1月31日発行 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 皆さん、こんにちは。 暖冬のはずが、各地で大雪のようです。事故には気をつけましょう。 ---------------------------------------------------------------------- 今回は手話サークルの学習会の話をします。なぜなら、討論集会直前ですか らです。つまりですね、私が参加する分科会が手話サークルですので、自分の 気合いを入れる意味も込めてお送りします。 ---------------------------------------------------------------------- と言いつつ、突然、話が脱線しますが、何の因果か、私は大学学部4年の時 に教育実習を経験しました。教わる方ではなくて、教える方で。(そりゃそう だ、教育実習ですもの。)しかも教科は数学。高校の時に数Iで年間平均点が32 点(補講での追加点を含めてだから、実質は赤点)だった私が高校2年生の代数 幾何を教えようというのですから、世の中、何があるかわからないなぁ、と思 いました。もちろん、生徒には私の高校時代の成績は秘密です。 その教育実習の時に強く感じたことが2点あって、1つ目が「教えることは自 分の勉強になる」と言うこと。これはよく言われることですが、教える立場に なると、いかに自分がわかっていないかがよくわかります。教育実習中の授業 で、そんな状態では困るのでが、前日に黒板を使いながら次の日の授業の予行 練習をしてみると、説明がくどいとか、言葉に詰まるとか、よくわかっていな いところに気がつくわけです。また授業中でも、なんのことない質問をされて 立ち往生してしまうと、まだまだ勉強足りんなと思うのです。 もう1つ強く思ったのは「授業は事前の準備で9割決まる」ってことです。生 徒にやらせた問題が難しくてなかなか解いてくれないとか、質問されたりとい うことは、案外どうにでも調整できて、授業が上手く進行しない時の原因は、 自分の準備不足であったことがほとんどでした。予行練習で時間がかかるから と省略した部分とか、事前に解いていなかった問題とか、プリントを作るのが 面倒だから口頭説明で済ませてしまおうとした部分とか。とにかく、手を抜い た部分が穴となって、授業の流れがボロボロになるのがよくあるパターンでし た。ですから、配るプリントはしっかり作り、説明する台詞を繰り返し練習し たものです。 ---------------------------------------------------------------------- そういうことをしてくると、気になってくるのが手話サークルでの学習会で す。その日集まった人がいつものテキストを適当に開いて、適当に選んだ例文 を聾者に教えてもらう、なんてことでは、全然勉強にならないのは明白です。 というわけで、教育実習での経験を手話サークルに行かそうと考え出したわ けです。ターゲットは、手話サークル例会での普通の手話の学習です。 最大の問題は時間と人材です。教職はそれを仕事としている人がいるわけで 使える時間も沢山ありますが、手話サークルに参加する人は別に本職があるわ けで、準備や予行練習にそう時間がかけられません。そして、手話サークルは いつも聾者がいるとは限りませんし、通訳できる人がいるとも限りません。 ということで、効果的な学習をするために、どうすれば労力を最小に、少な い人材で、みんなが「今日は勉強になったなぁ」と思える学習会ができるのか テーマとなりました。 もちろん、手話の教育方法は各地で色々考えられていて、その代表的なもの が全日ろう連のテキストであり、国リハの講習会であるわけですが、それらは 十分なスタッフが揃えられることが前提となっています。ですから、ナチュラ ルアプローチといったかなり大胆なこともできますけど、私が目指しているも のは手の届く範囲でどれだけできるか、ということですから、かなり方向が違 います。できることも限られています。 とりあえず、今回は、現段階でまあまあうまい具合にいっている方法をご紹 介するので、改良案をどしどしお寄せ下さい。 ---------------------------------------------------------------------- やることは2つです。 1. テキスト作り 2. 状況作り とにかく複雑なことはできません。単純なことで最大効果を得るのが目標で す。 ---------------------------------------------------------------------- 1. テキスト作り テキストなら市販の本もあります。あえてそれらを使わず、自作する意味は 以下の点にあります。 - 安上がり わずか1000円ぐらいと思うのですが、本に札を出すのには躊躇する人が多 いようです。自分で作ればあとはコピー代だけ。わずか数十円です。 - コピーも自由 既製品には著作権がありますから、勝手にコピーしたり、編集したりなん てできません。自分で作って、著作権を放棄してしまえば、煮て食おうが 焼いて食おうが勝手です。当然、今回紹介するテキストは私の自作で著作 権は放棄しております。自由に使って下さい。 - 解説はいらない 手話サークルで使うのですから、「聾者とは?」「手話の違い」なんて説 明はいりません。それなりの人を連れてきて説明してもらえばいいわけで すから。 - 会話文は欲しくない これは個人的な趣味かもしれませんが、会話文は状況が固定してしまうの であまり好きではありません。その場その時に応じて話が広がっていくよ うなキーワードのようなものが欲しいのです。 2. 状況作り 説明すればなんて事無いことばかりなんですが、これは座る位置や司会者の 進行方法のことです。こういうことには天才的な人がいますが、私は元々苦手 としていたところなので、色々考えました。 要はそこにどんな人がいて、全員が学習した気分になるためにはどのように 進行させればいいかということです。 - 少人数化する 聾者1、手話通訳1、その他2〜5人を基本にして、小グループに分割してし まいます。これは手を動かす機会を増やし、学習に集中しやすくすること になります。 - ある程度手話ができる人を徹底活用する ある程度手話ができる人、とは、だいたい手話を勉強し始めて1〜2年ぐら いの人。覚えている単語も少ないし、技術もまだまだであるのは確かです が、だからといって、何もしないとそのままサークルからいなくなって終 わりです。それなら使えるだけ使おう、使える者は親でも使え寝ている者 は起こして使えと言うではないか、縁があればうまくなって残ってくれる さ、というわけです。 そこで、通訳の練習でもある、と言いくるめて、読み取りや初心者の代 弁をさせます。ですから、座る位置は聾者の向かいか初心者の横。つまり 初心者が通訳者とではなく聾者と話すような位置関係にしておきます。話 すのは通訳者とではなく聾者とです。そして、初心者は通訳者の踏み台に してでも手話を学んでいって欲しいものです。 - 無駄話をさせない 人間はほっておくと、おしゃべりをはじめてしまうものです。私がいる手 話サークルは主婦が多いせいでしょうか? 当然、勉強の邪魔になります。 本人は悪気がないこともありますし、ガンガン注意すると、こうるさい奴 だなあと思われて、その後やりにくくなるので、それなら自然と状況をお しゃべりできない方向にしてしまった方が楽ちんです。 例えば上記の聾者1、通訳1、その他5人の場合、輪状に座れば、聾者と通 訳の挟まれるのは2人と3人になるので、3人の方に気を使っていれば、全 体の集中力が欠けることはほとんどなくなります。 質問はどんどん引き出しますが、無駄話はこれでカットするわけです。 - 遠慮させない これもある状況への追い込みです。初心者に手を動かさせるような状況に 追い込みます。そのためには、まず適度にできそうな人にさせて、次に初 心者を指名します。 - 聾者に的確に助言してもらう状況を作る 自戒を込めて言いますけど、テキストを使う学習では、どの表現をしてい るのかだんだんわからなくなってしまうんですよね。そうなると聾者から のアドバイスがとんちんかんなものになったりします。それを避けるため には、今どの文を表現しているのかを常に明確にします。そのために、テ キストの文には全て番号が付いています。 それから、どうせ勉強するなら、楽しくやりたいし、あまり聾者に負担に なるのも避けたい。だから、表現してから、常に答えを言ってもらうので はなく、確認役になってもらうぐらいでちょうどいいかもしれません。で も、思いつくことがあれば全部話してもらいます。 - テキストの進度は気にしない どちらかといえば、一つの文や単語をネタに派生語の勉強をした方が楽し いです。また、質問が乗じてテキストの後の方のネタが出てきてしまった としたら、変えるべきはテキストであって(テキストが自然な流れになっ ていないからそうなる)、勉強はそのまま続けた方が楽しいです。 ---------------------------------------------------------------------- では、テキストのご紹介です。このテキストの完全版は以下のURLで公開し ています。ここに載せたのは、その一部です。 http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/circle/lesson1.html http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/circle/lesson2.html これは「答える」練習で使うテキストです。 - 答える 1. 私は賛成します。 2. もちろん、いいですよ。 3. その通り。 4. 私も同じ考えです。 5. まかせて下さい。 6. だいたい同じことを考えていました。 7. それは、ちょっと違うと思う。 8. その意見には反対だ。 9. あまり賛成できません。 10. 難しいと思うなぁ。 11. それはできません。 12. うそ! 冗談でしょ? 13. 勘弁して。私には無理です。 14. あなたの言う通りかもしれませんね... 15. 納得できません。 16. 話がよくわからないのですが。 17. すみません、手話が読みとれなくて、話がわかりません。 18. 今の話を、もう一度確認したいのですが、いいですか? 19. 少し、わからない点があります。 20. ちょっと考える時間を下さい。 これを使えば「答える」だけでも色々な答え方があること、当然、手話でも 表現できることがわかるはずです。どうですか。これを使えば労力少なく、こ れをネタにいろいろ勉強できそうでしょ。 ---------------------------------------------------------------------- 今のところ、このテキストは2つしかありませんが、それぞれをじっくり使 えば例会3回分の分量があります。3x2=6で、全部で1ヶ月半ぐらい。どうせ半 年もたてば参加者も変わるし、勉強したこともかなり忘れていますから、年2 回使えるので、なんとこれだけで3ヶ月分の例会が頭を悩ませずにすむわけで す。コピー、改変、ご自由にお使い下さい。でも、改良点があれば教えて下さ いね。 ---------------------------------------------------------------------- では、また来週。 ---------------------------------------------------------------------- このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して 発行しています。http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000038270) ---------------------------------------------------------------------- ■登録/解除の方法 メールマガジン「語ろうか、手話について」は、以下のURLよりいつでも 登録/解除可能です。 http://www.mag2.com/m/0000038270.htm http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/kataro/ ■バックナンバーの参照 http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/kataro/ http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000038270 ■掲示板 http://www64.tcup.com/6411/tokudama.html 補助的な情報を掲載しています。編集者への連絡はMailをお使い下さい。 ■苦情、文句、提案、意見など Subjectに[kataro]を入れて、以下のアドレスまでMailをお送り下さい。 個別には返事ができないかもしれませんので、ご了承下さい。 tokudama@rr.iij4u.or.jp ====================================================================== ○メールマガジン「語ろうか、手話について」(週1回以上 発行) 発行: 手話サークル活性化推進対策資料室 編集: 徳田昌晃 協力: 五里、おじゃまる子(ヘッダ作成) 発行システム: インターネットの本屋さん『まぐまぐ』http://www.mag2.com/ マガジンID: 0000038270 ■意見、文句、提案、投稿は、居住都道府県名と氏名(匿名可)を添えて tokudama@rr.iij4u.or.jpまで送って下さい。 ■メールマガジン「語ろうか、手話について」は、著作権は徳田昌晃に所属し ますが、基本的には転載・複写自由です。有効にご活用下さい。 ======================================================================