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             _/_/ メールマガジン 『語ろうか、手話について』   _/_/
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No. 92                                              2002年 6月18日発行
ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ

  皆さん、こんにちは。雨のおかげでクーラーの効かない仕事場も過ごしやす
くてホッとしている徳田です。1ヶ月ぶりのご無沙汰ですね。梅雨になり、洗
濯物が乾きにくい今日この頃皆さんいかがお過ごしでしょうか。電器屋をフラ
フラしていたら、洗いから乾燥までしてくれる全自動の最新式洗濯機を見つけ
てしまいました。すごいですねぇ。個人的には二槽式で洗うのと脱水を同時に
グルグル回すのが好きなんですけど、あんな全自動洗濯機を使ったら、もう元
には戻れなくなりそうです。

  前回の組織の話は、改めて読むと、なんとも歯切れが悪く、あまり出来がよ
くありませんでした。すぐに改訂版を出そうかと思ったのですが、何回書き直
してもいまいちで、結局、そのままにすることにしました。つまるところ、私
としても組織をいかにうまく使うかということについて、しっかりした意見を
持っていないと言うことなのですが、そのうち、「これだ!」と思うところが
出てきたら、改訂します。

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さて、今回はNo.90の「語ろうか」に対する、次の質問に答えていきます。

  TYさんからのお便り
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  (語ろうかNo.90より引用)
  >研修センターそのものが、東京の情報文化センターや埼玉の国立リハビ
  >リテーションセンターのやり直しみたいなものですから、今後、また失
  >敗しないといいんだけどなぁ、と思います。

  東京の情報文化センターや埼玉の国立リハビリテーションセンターが失敗
  だと思われるのはなぜでしょうか?
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  なかなかするどい突っ込みですね。サラッと書いたつもりだったのですが、
よくぞ発見してくれました。結論から先に言えば「情文センターも、国リハも
失敗したが、研修センターが成功するとも限らない」と考えています。今回は
その失敗だと思う理由と、研修センターについてお話しします。

  Webのバックナンバーを見た方はお気づきかもしれませんが、手話研修セン
ターの話は、ずっと前から書こうと思っていたテーマなんです。話が急にまと
まってしまう胡散臭さが、どうも気になっていて、これは何かありそうだと、
私の直感がささやいていました。これが新聞記者ならよくよく調査しないと記
事にはしないのでしょうけど、このメルマガは私の言いたいであるという利点
を利用しまして、とりあえず集まった資料をもとに、適当な推測を込めて、お
送りします。
  ということで、「そりゃ、違うだろ!」というお叱りは大歓迎です。どんど
ん「語ろうか」に転載していきますので、何かお気づきの点があれば、お気軽
にご意見をお寄せ下さい。

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  では、本題です。長くなりそうなので、2回シリーズになります。今回は国
リハと情文センターが失敗と思う理由です。

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  まず「国リハ」です。正式名称は「国立リハビリテーションセンター」で、
埼玉は所沢にあります。厚生労働省管轄の学校です。(法律的には、学校では
ありませんけど、まぁ、細かいことは気にしない気にしない。)ここには手話
通訳学科があり、手話通訳者の養成を行っています。設立当初は一学年10人か
らスタートしたそうですが、現在は15人、今年からは30人の定員になるそうで
す。

  国立リハビリテーションセンターのホームページ
  http://www.rehab.go.jp/index.html
  手話通訳学科 (学院)
  http://www.rehab.go.jp/College/index.htm

  国リハに手話通訳学科ができたとき、私は手話サークルに入って3年目ぐら
いで、ぼちぼち手話を取り巻く状況を把握しつつある頃でした。その頃に、県
ろう協の人の講演で「私たちは、行政に対して、手話通訳の養成、認定、設置
派遣を求めて活動している。国リハはその中の養成という目的がかなったもの
だ」という話を聞きました。当時は、みんな、すごく期待していたという雰囲
気がありました。
  それが、だんだんと国リハの話は聞かなくなり、養成といえば、厚生労働省
が定めるというカリキュラムをいかに実行するか、そのための予算をどこから
ぶんどってくるかという話が中心になっていきます。

  そして、現在。国リハに手話通訳学科が誕生して10年ちょい経過しました。
数字上は100名以上の卒業生、つまり手話通訳者が誕生しているはずで、その
人達は全国あちこちで活躍しているはずです。47都道府県で割り算すれば、
1県あたり2人以上です。

  では、皆さんに質問です。

  皆さんの都道府県で、国リハ卒業の手話通訳者は、活躍していますか?

  ほとんど見かけませんよね。私が「国リハは失敗」と考える理由は、これで
す。養成機関のはずなのに、全然養成されていないということです。

  国リハがまったく成果を出していないわけではありません。以前、手話通訳
者の知り合いが国リハで受けてきたという研修内容を教えてもらったことがあ
りますが、実践を交えた興味深い内容でした。それから、最近はあまり話題に
ならなくなりましたが、「ろう文化」といった考え方を打ち出してきたのは、
国リハにそれなりの人が集まり、議論が深まった結果だと思います。これは日
本の手話関係の歴史の中で画期的なことでしょう。

  でも、それって本筋ではないと思います。どこかの大学でやるならともか
く、厚生労働省が手話通訳学科を国リハに設けた目的は、手話通訳士、もしく
は手話通訳者を増やすことにあったはずです。通訳者を増やしてなんぼの組織
です。研究よりも教育で結果を出してもらわないと困ります。
  強引な例え話をするなら、ロケットを作っていたら車ができちゃいました、
でも、性能がいいから構わないでしょ、という感じだと思うのですが、それは
いかんと思います。ロケットを作らないと失敗だと思います。
  全国にくまなく手話通訳者を送り出すことが国リハの目的のはず。日本のど
この県庁所在地に行っても、国リハ卒業生がいるぐらいにならないと、とても
成功とは言えないと思います。

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  次は情文センター。正式名称は「聴力障害者情報文化センター」といいまし
て、東京にあります。

  沿革など
  http://www.normanet.ne.jp/~iccd/ICCD.htm
  総合案内
  http://www.jyoubun-center.or.jp/info-top/info.htm

  色々な事業をしていて、うまく使えばかなり便利なところです。ですから、
全部が全部ダメというわけではないのですが、私が特に失敗だと思うのは「手
話通訳士認定試験」の事業です。

  これは「養成、認定、設置、派遣」で言えば、認定に当たる部分ですが、手
話に関する唯一の公的資格である「手話通訳士」の試験は、ここが問題を作っ
て、合否判定試験を行っています。
  何が問題かというと、その試験内容にいびつな部分があり、それがほとんど
変わらない。ただ、やればいいってもんじゃないだろう、と思うのですが、そ
れを改善しようにも、どうにもならない。それが失敗だと思う理由です。
  これは私に限らず、かなりの人が批判している点です。具体的な例を見てい
きましょう。一次試験のペーパーテストに、国語という部門があって、特にい
つもこの部分がやり玉に挙がります。

  第13回の試験問題には、こんなのがありました。
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  次の文の(  )にあてはまるもっとも適切な語を、下の中から一つ選びなさ
  い。

  いわゆる「若者ことば」のうち、「むずかしい」を「むずい」、「きもちわ
  るい」を「きもい」という言い方などは、他の三音節の形容詞との(  )や、
  語形短縮などの複合によって形成されたと考えられる。

  1. 類推
  2. 対照
  3. 比較
  4. 対立
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これって、手話通訳と何か関係があるのでしょうか? 通訳者としては、こんな
ことを知っているよりは、「なんでだろ〜」の踊りを知っていた方が数倍は役
に立つように思います。

  試験全体からすれば、この手の必要性を感じない問題は2割程度なんですが
その2割がいつまでたっても消えない。その程度のことが修正できないという
のは、失敗だと思います。

  さて、どうしてこうなってしまったのか、ということですが、情文センター
というのは、しょせん、厚生労働省の天下り施設なんです。歴史的経緯はよく
わかりませんが、手話通訳士という資格が国の認定試験でやることになって、
それは当然、当時の厚生省に関係ある機関が実施することになって、自然と情
文センターに降りてきたと言うことなのだと思います。天下り団体ですから、
お金は十分にありますし、普通なら手こずりそうな行政的な問題も軽く解決で
きます。ですが、しょせんは門外漢ですから、何だかおかしなことをやってい
ることがあります。でも、要所は天下りの人が占めているから直すこともまま
ならないわけです。
  そういうところに手話通訳士試験の実施権限を渡してしまったというのは、
全日ろう連、全通研の汚点でしょう。

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  さて、この2つの失敗を糧にしてつくられたのが、手話研修センターのはず
ですが、さて、どうなんでしょう。

  続きは次回へ。来週には配信したいと思っていますが、少々遅れるかもしれ
ません。

  ほんではでは。

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