ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ _/_/ メールマガジン 『語ろうか、手話について』 _/_/ _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ No. 102 2005年 1月19日発行 ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ 皆さんこんにちは。ちょっとだけ腹痛で苦しんだ徳田です。ノロウィルスと いうものが流行っているようですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私の は単なるハライタだったようです。 久しぶりの本編&お待たせしました。最近話題の「三位一体改革」について の解説です。でも、ちょっと弱気です。書いているうちに、これでいいんだろ うかと思う箇所がいくつか出てきたのですが、いつまでも貯め込んでいると、 いつぞやのように年越しをしてしまうので、とりあえず出してしまいます。 現状でも色々と動きがあるものなので、他の情報とあわせて読んで頂き、間 違っている箇所はご指摘いただければと思います。 いつものようにコピーフリー、教材使用自由ですが、使用する際にはよくよ く吟味してお使いください。間違っている箇所があるかもしれませんので。一 応、論拠の弱いところは「(弱弱)」マークが入っています。 ということで、修正コメント、ご意見など、いつにもまして大歓迎です。 余談ですが、今回の原稿は、実は物語風にしてみたり、ニュース解説風にし てみたり、色々と試して書いていました。でも、結局、私の筆力のなさに気が つき、例え話をしようとすると、本筋から外れたりとということで、結局、い つものように私からの「主観」で語ることになりました。想像も入っていま す。これをきっかけに厚労省や新聞や全日ろうや全通研の出す情報を読み込ん でいってほしいと思います。 ---------------------------------------------------------------------- では、はじまりはじまり〜。 まず、三位一体改革とか、グランドデザインというのは、何が起きているこ となのかを5行でまとめますと、 手話通訳制度が、 国の補助ではなく、 完全に市町村や都道府県の事業に移行して、 費用も市町村や都道府県がまかなうことになるので、 今までのようにはいかなくなるかもしれない ということです。 だから、今までも手話通訳にお世話になっていない人には関係ありませんし 今までのようにいくかもしれません。でも、今までのように国が関係すること ではなく、市町村・都道府県のレベルの話になってしまうので、どのようなこ とが起きるか、それは皆さんが住んでいる地域によりバラバラです。 「全然関係ないや」という人もいれば、「エライこっちゃ」と大騒ぎの人も いるでしょう。それは、皆さんそれぞれで、地域の情報を集めて判断しなけれ ばなりません。 ということで、全ての地域に当てはまるような解説はできないので、皆さん の判断材料になりそうな、大きな流れに絞って説明しておきます。 なお、以下、市町村や都道府県の地方自治体、特に行政のことを「地方」と 省略して書きます。 ---------------------------------------------------------------------- 最初に国の側からの視点を見ておきましょう。 まず一つ目に抑えておきたいのは厚労省の動きです。 歴史をさかのぼれば、昭和13年、戦争による戦局拡大から国民の健康増進の ために厚生省が創設され、日本の福祉制度は戦争による肢体障害者対策として 始まったそうです。その後、老人、子供と色々な制度が構築されてきました。 2001年には労働省と統合され、厚生労働省という巨大省庁になりました。社会 保険や年金など、金銭的な面では財務省並に我々に関係のある組織です。 さて、福祉制度のみに注目すると、現在、老人には介護保険、障害者には支 援費制度がありますが、さらに細かい制度があり、そうとうごちゃごちゃして います。 私が思うに、厚労省の悲願は、これらをすっきりさせることだと思います。 すっきりさせることは悪いことではありません。わかりやすくなりますし、 合理的に、効率よくなれば、お金も有効に使えますし、必要な人に必要なもの やサービスが提供できるようになるはずです。 そのために、厚労省が行使できる手段は、法律の改正と予算配分です。 * * * 二つ目に抑えておきたいのは、手話通訳事業がメニュー事業という国の事業 であることです。 現在、地方で実施されている手話通訳は、国からの身体障害者社会参加促進 事業として行われているものです。この事業は手話だけに限ったものではなく て、視覚障害者への朗読・点訳とか、肢体障害関係の生活訓練など、色々な事 業の集まりです。この中から、やりたいものを地方でやってください。やるな ら、国としては補助金を付けますよ、というものです。 ということで、メニュー事業の中には手話通訳制度は奉仕員と通訳者の派遣 と養成があります。これらは旧厚生省系ですが、旧労働省系の事業として協力 員設置事業というのがあります。これはハローワークへの通訳者の設置に関す る事業です。(弱弱、教材に使う時は調べ直してくださいね。) いずれも国からの補助金で成り立っていることには変わりありません。 もっとも、手話通訳のみ専業で担当しているという人はそんなに多くないよ うですし、雇用形態も非常勤(いわゆるパート)である人が多いです。それらの 人を雇うために国からの補助金は出ていますが、全部ということもあれば、 色々な補助金をかき集めた場合もあると言うことで、このあたり地方によりバ ラバラです。 話がちょっとそれましたが、いずれにしても、国の補助金が手話通訳制度の 維持に大きな位置を占めていることは事実です。そして、手法としてモデル事 業、メニュー事業という小手先のやり方でしかなかったわけです。 私が想像するに、厚労省としては今後長く耐えうる体制を整えたいというの は悲願なのではないかと思います。 * * * ここで出てくるのか「今後の障害保険福祉施策について=改革のグランドデ ザイン」です。これは最近の流れを受けて、厚労省が打ち出してきた方針の一 般総称でして、以下のWebページから資料を読むことができます。 http://www.wam.go.jp/wamappl/bb01Mhlw.nsf/vAdmPBigcategory10/ CE58BD619074355649256F2E00104289 (折り返してあるので、アクセスする時には1行目と2行目をつないでくださ い。) この一括資料の中の、説明資料の19ページ(通しでは31ページ)、参考資料の 35ページ(通しでは89ページ)が特に手話関係で要点が書いてある部分です。 この内容はとにかく大改革でして、身体、知的、精神を一本の法律にまとめ るという壮大な物です。厚労省からは、遅れていた精神障害への福祉が他の身 体や知的並になるといったことがウリとして喧伝されていますが、なにせ分厚 い資料ですから、読めば読むほど「えっ、こんなことまで考えているのか!」 といった発見に満ちあふれています。読む人の立場により、受ける印象は様々 ですが、手話については応益負担制度の導入が一番のポイントではないかと思 います。そして、それらは介護保険の仕組みにより実現するようなことが書い てあります。 ちょっと前から、支援費と介護保険を統合するという話があって、各所で非 難と賛同の入り交じった議論が続いていますが、この資料では「え、統合する のは当たり前でしょ」という論調です。 ---------------------------------------------------------------------- 次に政治の動きと、最近の流れを見ていきましょう。社会の授業みたいな感 じですが、ちと我慢してください。 グランドデザインから、少し時間がさかのぼります。 小泉内閣が誕生して、一応は数々の改革を行ってきました。世間では文句言 う人が多いようですが、私はそれなりに評価しています。ま、私の評価なんて どうでもいいのですが、とにかく、その改革の一つに、三位一体改革がありま す。3つのことを1回で解決しちゃおう、という実現すればすごくお得な内容で す。 では、その3つのこととは何でしょうか? 中学の社会科の授業みたいですが ちょっと我慢してください。それは次の3つです。 1. 国庫支出金を減らす。 2. 税源を地方に移譲する。 3. 地方交付税を見直す。 これらを実現して地方分権を進める。ということです。 大きな政府と小さな政府という考え方があります。アメリカは典型的な小さ な政府、日本は典型的な大きな政府です。どちらもいい点と悪い点があります が、小さな政府は国民が好き勝手できる代わりに、国はあんまり面倒見てくれ ません。大きな政府は逆。自由が少ない代わりに、国が面倒見てくれます。 「日本の政府は大きすぎ。もっと小さくして、国民が自由に色々とできるよ うにする。その代わり国の負担を少なくする。」そんな考えで、規制緩和や構 造改革特区といったことが進められてきました。 三位一体改革は任期からすると小泉さんの最終段階となるでしょう。国民に 密接している市町村・都道府県の権限を強めて、国の役割を小さく、負担を少 なくしていこう、と言うものです。 で、先の3つに話を戻しますと、1つ目の国庫支出金は、国から地方へ流れる お金のこと。これを少なくすることは、まさに国の負担を減らすことになりま す。 2つ目の税源を地方に移すことは、税金を取る権利を国から地方に移譲する ということ。これは地方の権限を強めることにつながります。自立するための 資金という意味合いが強いですね。 3つ目は1つ目に似ていますが、国から地方へのお金が減らすことです。です から、国の負担が減ります。 では、社会の授業の復習です。国庫支出金と地方交付税の違いは何でしょ う? 答えは、国庫支出金は使途が決められていますが、地方交付税は地方格差を 埋めるのが目的なので使い道は自由です。ですから、東京のように裕福な所だ と交付税はもらっていないということがあります。 * * * さて、三位一体改革。こんなの簡単にできるわけありません。まず、地方は 仕事が増えます。それは嫌だと反発されています。それに加えて、仕事が増え るのにお金が来なければ話にならんと反発されています。委譲される税源が少 なすぎ、というわけです。 それに過疎地など税源が少ない地域は致命的です。元々地方交付税は、地方 格差を少なくするために強引にお金を移動する方法でしたから、これが少なく なれば当然、地方格差は今までより大きくなるわけです。 地方交付税がなければ成り立たない自治体は6割とも言われています。つま り、三位一体改革が行われれば役場の職員に給料さえ払えない状況になるよう な町や村が出てきそうです。公務員が失業ですよ、失業。ある調査によれば、 近畿地方のある県は三位一体改革が実現したとたんに、半分の市町村は破産す る、とまで言われています。破産ですよ、破産。市役所が潰れちゃうんです。 どうなっちゃうんでしょ? 引っ越しの手続きできるのかしらん? 国も反発します。国というのはお役所のことですが、反発の理由は権限が減 るからです。いろいろできたことができなくなるのは嫌だというわけです。 でも、誰もがこのままでは日本は身動きが取れないほど巨大な政府になって しいマズイ、という点では意見が一致しています。借金が増え続けるのもその 一つでしょう。 * * * ということで、上も下もブーブー言っていたので、とうとう小泉さんはキレ ました。文句があるなら、まずは案を出してみろと。 そこで地方の側が動きました。ここで登場するのが地方六団体です。六団体 とは、全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長 会、全国町村会、全国町村議会議長会の6つのことです。特に最近は、御三家 などと言われる革新知事いたりして、地方の活躍がめざましいものがあります が、今回も知事会がガンガン引っ張って案を出したようです。 これについての資料は以下のWebページから資料が取り出せます。 三位一体改革推進ネット http://www.bunken.nga.gr.jp/ 国庫補助負担金等に関する改革案 http://www.nga.gr.jp/chijikai_link/2004_8_x04.pdf 改革案は、地方行政を担う立場から、お金がどれだけ国から来るのかに焦点 が置かれた資料になっていますので、何兆円が何年何月までにどこどこへと いう記述が多いのですが、後半にいくらかわかりやすい項目があります。 別表1の「委譲対象補助金一覧」というところを見てください。私の理解が 正しければ、これらが、地方が主張する一般財源化して欲しい事業一覧です。 あまり地方行政の事業内容を理解していない私が読んでも、よくわからない部 分がありますが、身体障害者福祉費補助金、身体障害者等福祉対策事業費補助 金など、身体障害関係の補助金が軒並みここに入っているように思います。 その一方で、参考資料の「以上対象補助金から除外すべき主な国庫補助負担 金」では、国による統一的な措置が望まれるものや制度全般の見直しで検討す べきものとして、介護給付費等負担金が明確に記載されています。(弱弱) これが意味するところは、 国庫補助金をなくすということは、補助金のようなひも付きではなく、自由 に使える税源として地方に渡して欲しい。そうしたら、地方では実情にあわ せて、そのお金を今までよりも適切に無駄なく合理的に事業をやりますか ら。そのお金にして欲しい事業のリストは作りました。 でも、全国的にやるべき事業は今まで通り国にお任せしますよ。国庫補助金 のままにしておいてください。 ということです。 * * * 国も、どうせたいしたものは出てこないと思っていたのに、本当に案が出て きたので、びっくりしていたみたいです。 その後、地方と国とのやりとりは、上記の三位一体改革推進ネットで「国と 地方の協議の場の開催について」という資料で公開されています。あんまりよ く読んでいませんが、これは大変だわ、と思います。パラパラよく読んだ範囲 では、義務教育、生活保護、道路、健康保険といったものが取り上げられてい て、大部分が厚生労働省関係であることにも驚きですが、確かにこれだけ大き なテーマの前には、身体障害者関係の補助金、ましてや手話通訳制度なんてか すむなぁ、と思いました。 ---------------------------------------------------------------------- 来週は、いよいよ、手話通訳制度が三位一体改革でどうなっていきそうなの かを見ていきます。 では、次回の語ろうかをお楽しみに。 ---------------------------------------------------------------------- このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して 発行しています。http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000038270) ---------------------------------------------------------------------- ■登録/解除の方法 メールマガジン「語ろうか、手話について」は、以下のURLよりいつでも 登録/解除可能です。 http://www.mag2.com/m/0000038270.htm http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/kataro/ ■バックナンバーの参照 http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/kataro/ http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000038270 ■掲示板 http://www64.tcup.com/6411/tokudama.html 補助的な情報を掲載しています。編集者への連絡はMailをお使い下さい。 ■苦情、文句、提案、意見など Subjectに[kataro]を入れて、以下のアドレスまでMailをお送り下さい。 個別には返事ができないかもしれませんので、ご了承下さい。 tokudama@rr.iij4u.or.jp ====================================================================== ○メールマガジン「語ろうか、手話について」(月1回以上 発行) 発行: 手話サークル活性化推進対策資料室 編集: 徳田昌晃 協力: 五里、おじゃまる子、くぅ(ヘッダ作成) 発行システム: インターネットの本屋さん『まぐまぐ』http://www.mag2.com/ マガジンID: 0000038270 ■意見、文句、提案、投稿は、居住都道府県名と氏名(匿名可)を添えて tokudama@rr.iij4u.or.jpまで送って下さい。 ■メールマガジン「語ろうか、手話について」は、著作権は徳田昌晃に所属し ますが、基本的には転載・複写自由です。有効にご活用下さい。 ======================================================================