d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★ メールマガジン 「語ろうか、手話について」 No.111 2006年 3月 1日発行 d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★ こんにちは、まだ山口集会の徳田です。 帰りのバスは17:15発で、駅に向かうのですが、私の乗る新幹線は17:00に駅 から出発することに気がつきました。どうなる!? ---------------------------------------------------------------------- さて、手話検定の話の続きです。 資料としては、引用していないものが、A4にして、まだ数枚あるのですが、 私から見るとどーでもいいデータや、言い訳じみた文章がタラタラ書いてある だけなので省略します。 ただ、今年実施予定の5級と1級のレベルについての記述だけ、引用しておき ます。 ------------------------------------------------------------------ 5級 筆記試験: 無し。 実技試験(試験程度): 学習期間6ヶ月ぐらい、単語数200〜300語程度、 ろう者との会話に興味を持ち、自己紹介を話題に会話ができる。 実技試験(試験領域): 挨拶や自己紹介(名前、家族、趣味、年齢、誕生 日、仕事、住所)を話題に相手の手話を読み取ったり、手話表現を する。また、簡単な疑問視を使い、挨拶や自己紹介に関する会話 をする。 4級 筆記試験: 無し。 実技試験(試験程度): 学習期間1年半ぐらい、単語数500〜600語程度、 ろう者と会話をしようとするタイドを持ち、疑問詞や時制に関す る手話を理解し簡単な日常生活の体験を話題に会話ができる。 実技試験(試験領域): 1日、1時間、1年の家族の身近な生活や体験を 話題に、相 手の手話を読み取ったり、手話表現をする。また 疑問視を使い、上記に関する 会話をする。 1級 筆記試験: 聴覚障害者とのコミュニケーションとその特徴、耳の仕組 み、障害と社会環境、聴覚障害者の暮らし、ろうあ者の歴史、聴 覚障害者関連福祉制度、手話の基礎知識 実技試験(試験程度):学習期間3年ぐらい、単語数3000語程度、ろう者 と積極的に 会話しようとする態度を持ち、あらゆることを話 題にし、よどみなく会話ができる。 実技試験(試験領域): あらゆる場面を話題に相手の手話を読み取った り、手話表現をする。また、上記に関する会話をする。 ------------------------------------------------------------------ 手話技能検定とはだいぶ違うレベルですね。最高位の1級も通訳ができると いうわけではなく、会話が十分にできる程度を想定しているようです。 ---------------------------------------------------------------------- さて、これで一応、研修センターが考えている手話検定の全容がわかったと 思います。つまり、あんまりよく練られていないと言うことが... 代表者会議での説明では、これ以上の口頭の説明もなかったので、追加情報 はありません。とにかく、全通研会員としても、この資料を基に判断するしか ない状態です。 気になる点、問題点は数多くありすぎて、指摘するのもうんざりするぐらい ですが、当事者になってしまうかもしれない立場にいる者として、気になるの は2点。 まず、お金の配分について、なんにも決められていないこと。 今までの経緯からして、こんな性急に試験を実施するのは、研修センターの 収益改善のためとしか思えません。 となれば、この手話検定による収益はごっそりと研修センターが持っていっ てしまうと予想されます。 でも、これってそんなに儲かる話なんでしょうか? 受験料が2000円という縛りがあります。となると、100人受験して20万円。 それで会場費、人件費等等を処理していくと、私の頭の中だけのザックリとし た計算では、ちょっと赤字になるような気がします。確実に赤字にならなくな るのは、150人を越えた当たりかなって気がしますが、この試験は面接が主体 なので、受験生が増えると人件費も増えるので、なかなか収益が改善しにくい ように思います。 で、仮に300人ぐらい集まったとしても、総額60万円の予算でやることにな ります。半分が収益になったとしても、30万円。だいたい20ぐらいの県で実施 するとして、600万円。1億円の返還訴訟を起こされている研修センターに今更 600万円程度のお金を焦って作って何の意味があるのでしょう? とりあえず、収益が出たら等分分割を仮定しましたが、このあたり全くわか りません。もしかすると、収益は全部寄付しろと言われるかもしれませんし、 逆に寄付は任意かもしれません。 私が何人かに聞いた感じでは、とりあえずは様子見という人ばかりでした。 約1名、儲かるならやればいいじゃん、という人がいました。その割り切り具合 私大好きです。でも、私も様子見だなぁ。 果たして、研修センターがどのような分配を打ち出してくるのかはまったく 不明です。受験票の第一次受付を担当するそうですから、その作業代としてい くらか取られることは確実でしょう。 ---------------------------------------------------------------------- もう一つは、人手の問題。 この試験は、面接委員というのを各都道府県から集めて、研修センターで養 成し、その面接委員達が各都道府県に戻って、試験を実施するというやり方で 進めるようです。 試験委員の方は、単なる単純労働力として面接委員を手伝うだけでいいよう なので、手話ができないアルバイトでも良さそうですが、面接委員はそれなり の技量を持った人でないと務まりそうにありません。研修センター側も、面接 委員になれるレベルは奉仕員講座の指導者レベルであるとしています。 これまた具体的な試験方法がわかりませんから、仮に面接を1人に対して3人 体制でやるとしましょう。 1人2分として、100人で200分、3時間チョイです。休憩を入れるとなれば、5 時間弱と言うところでしょう。5時間弱も連続で、「私の名前は○○です、趣 味は××です」なんて手話を見続ける... 拷問でしかないと思います。 面接委員が3人なら、まだ私がいる千葉県でも手配できそうな気がします。 でも、この試験を本当にやるとなると、小学生が大挙して応募してくるような 事態はありえるでしょう。となれば、300人ぐらいは、軽く受験してくる可能 性は十分あります。となれば、3x3=9人。奉仕員指導者レベルの人を10人、1日 中拘束するのはかなり厳しくなってきます。しかも、人数が増えれば増えるほ ど、受験生の案内や試験状況や結果の記録などの作業も増えていきますし、面 接委員も途中でギブアップする人も出るかもしれません。 と、考えていくうちに、こんなことは可能なのか?? と思うわけです。 受験生を人数制限するという方法もありそうですが、でも、そんな試験、聞 いたことがありません... もっとも、私自身は手話に関する資格は全く持っていないので、この面接委 員になることがあり得ませんから、完全に他人事です。すでに私は、千通研支 部内では「やりたければ、やれば〜」と言っています。 ---------------------------------------------------------------------- というわけで、私の見解は、金銭的、労力的に、こんな不透明な話に乗るの は危険過ぎで、千葉県内で実施するにはリスクが高すぎ。というより、やりた くてもできない、と考えています。 どんぐりの家の映画上映権の話もすごかったですが、手話検定には、それを 越えるインパクトがあります。 ---------------------------------------------------------------------- 以上は、現実的な手間から見た問題点ですが、もちろん、それ以前に、この 手話検定には道義的、倫理的、科学的に、疑問符がたくさんつけられます。こ れについては、私が言うまでもないと思いますが、いくつかあげておきます。 過去に全日本ろうあ連盟は、手話技能検定に反対する声明を出しています。 参考URL: http://atsugi.soc.or.jp/shu.htm この文書では反対の根拠として3点を出しています。 まず、手話検定を作るなら他の試験との整合性を取り、現場に混乱がないよ うにしながら行う必要があるといっています。 これは一理あると思いますし、全国手話検定は統一試験の下位というレベル の位置づけであることからとりあえずこの指摘をクリアしているようには思い ます。 ただ、このまま実施すれば現場はかなり混乱します。それは自らの根拠に反 するでしょう。 また、統一試験への道筋をつけるとは言いますが、その具体的な内容は全く 提示されていないので、まだ判断できません。単に単語数を増やすだけ、試験 を難しくするだけであれば、あまりに考えが安易すぎます。 ---------------------------------------------------------------------- 次に技術のみを追求する手話技能検定は容認できないと言っています。 私は、これは考え方の違いだと思います。 手話技能検定は技術のみであるから正確に検定できるのだ、と言っていて、 私は、その言い分には、科学的な合理性がある、つまり一本筋が通っていると 思います。 その一方で、全国手話検定が面接を主体にしてきた点から、コミュニケー ション重視であることもそれはそれで筋が通っていると思います。 この点では、両者の意見は、考え方の違いで、それが試験内容に反映されて いるとみなせます。これは、受験者が、どちらに納得できるかで選択すればい いことです。 ただ、コミュニケーションの測定を面接という手段だけ、つまり主観が入ら ざるを得ない方式をとっていますから、手話検定の方には筋を通すための方策 の説明が必要だと思いますが、それは今のところほとんどありません。 ---------------------------------------------------------------------- 最後に聞こえる人が主導していることの疑問が提示されています。 私は手話技能検定協会の内部スタッフまで良く知っているわけではありませ んが、トップや表に出ている神田先生や谷千春氏は健聴者ですが、だからと いって、健聴者主体であると断言するのはいかがなものでしょう? 縁の下でろ う者がしっかり支えているかもしれないのに。 (というか、噂に聞くところでは、支えているそうです)。 逆に全国手話検定が健聴者主体ではないと断言できるのでしょうか? この手 話検定の話には、全通研や日本手話通訳士協会という巨大健聴者団体が関わっ ているのに。 それに内容からすれば、日常会話ができる程度が最高レベルです。となれば 日常会話もできない程度の手話を試験するわけで、自然と対象者は健聴者ばか りになります。そんな人たちを相手に試験をするとなれば、応対するのは健聴 者である必要があり(だって、手話が話せないんですから、試験の前説明とか 全部日本語でやる必要がありますよね。)、この試験、どう考えても健聴者が 主体にならざるを得ないわけです。 構想がろう者だからいい? そんなもんなんでしょうか? ---------------------------------------------------------------------- 試験としての最大の疑問点が、面接による評価の精度です。 どうやって、基準を設けるのか。個人の主観によるばらつきをどうやって平 滑化していくのか、まったく示されていません。研修センターで1泊2日の研修 を面接委員が受けるそうですが、それだけでなんとかしようとしているみたい です。 結論は、私が言うまでもありません。あえて言えば、受験生をなめている、 と言えるのではないでしょうか。 ---------------------------------------------------------------------- 一応、3月に全通研本部に直接意見をあげる機会がありますので、何か言い たいことがある方はご意見下さい。もちろん、この機会は、全通研会員さんか らの意見吸い上げが優先ですから、必ずしもこのメルマガの読者の皆さんの意 見が研修センターに伝わるとは限りませんが、私まで届いた意見は、私の中で こなして、今後に生かしていきたいと思っています。 ところで、あと、研修センターの助成金裁判の件ですが、公の場では、特に 新しい情報はありませんでした。他に目立った動きも見あたりませんでした。 ただ、「どうなるんだろう?」と心配している人が多数いるようです。負け たときどうなるのか、やはり気にしている人は多そうです。倒産や解散という わけにはいかないだろうし、でもお金の負担は生じるだろうし、まぁ、最終的 には我々には関係ないけど、という雰囲気でした。 手話や手話通訳の研究、普及などをするための拠点としての研修センターを 建てたはず。それなら、私も納得できました。でも、宿泊施設やレストランが 欲しかったわけではないし、手話検定もやりたいわけではありません。なんで こんな企画を打ち出してくるのか? これが本当に我々が欲しかった研修セン ター? こんな研修センターとつきあっていかなければならないのなら、私は全 通研もろとも縁を切りたい気分です。 まず、最初の試験は9ヶ月後の11月3、4日は決定だそうです。できるところ からやるそうです。そのため、各都道府県でアンケートを出して、できそうな ところには手を挙げてもらい、そこから面接委員を研修してもらうそうです。 さて、どうなることやら。 ---------------------------------------------------------------------- では、次回の語ろうかをお楽しみに。 ---------------------------------------------------------------------- このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して 発行しています。http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000038270) ---------------------------------------------------------------------- ■登録/解除の方法 メールマガジン「語ろうか、手話について」は、以下のURLよりいつでも 登録/解除可能です。 http://www.mag2.com/m/0000038270.htm http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/kataro/ ■バックナンバーの参照 http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/kataro/ http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000038270 ■掲示板 http://www64.tcup.com/6411/tokudama.html 補助的な情報を掲載しています。編集者への連絡はMailをお使い下さい。 ■苦情、文句、提案、意見など Subjectに[kataro]を入れて、以下のアドレスまでMailをお送り下さい。 個別には返事ができないかもしれませんので、ご了承下さい。 tokudama@rr.iij4u.or.jp ====================================================================== ○メールマガジン「語ろうか、手話について」(月1回以上 発行) 発行: 手話サークル活性化推進対策資料室 編集: 徳田昌晃 協力: 五里、おじゃまる子、くぅ(ヘッダ作成) 発行システム: インターネットの本屋さん『まぐまぐ』http://www.mag2.com/ マガジンID: 0000038270 ■意見、文句、提案、投稿は、居住都道府県名と氏名(匿名可)を添えて tokudama@rr.iij4u.or.jpまで送って下さい。 ■メールマガジン「語ろうか、手話について」は、著作権は徳田昌晃に所属し ますが、基本的には転載・複写自由です。有効にご活用下さい。 ======================================================================