d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★

        メールマガジン 「語ろうか、手話について」

Note.78                                             2006年10月18日発行
d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★d(^O^)b★

  皆さん、こんにちは。スーパーに並ぶサンマを見て、秋を感じる徳田です。

  白い発泡スチロールの中に入っている氷とサンマを見ると「秋だなぁ」とし
みじみしてしまいます。頭とわたをとったサンマなんて邪道だと思う今日この
頃です。

----------------------------------------------------------------------

  今回は、週末に山形氏の講演会があるので、自分のメモ書きみたいな内容で
すが、どうぞご容赦を。

  再構築委員会報告書は、「教育や司法分野での手話通訳のために、福祉以外
の予算を確保するべき」「養成講座は40時間x3段階に再編すべし」といった具
体的な提言を行っているのが、特徴的です。

  そんな再構築委員会報告書にも、いまいち切れ味の悪い箇所があります。
  通訳者の雇用についての章です。

----------------------------------------------------------------------

  私は、手話通訳制度は、雇用問題が解決すれば、あとは自然に解決すると思
います。通訳者の数が少ないとか、質がバラバラとか、頸肩腕障害も、通訳者
の労働環境が悪いのが原因ではないでしょうか。

  報告書では、いくつかの調査により、手話通訳者の雇用問題をあぶり出して
はいますが、その解決策になる具体的な提言は、かなり曖昧なものです。

  まず率直に言って、手話通訳者が足りないのか? という疑問が私にはありま
す。報告書では、全通研が5年に1回実施している通訳者の実態調査を紹介して
います。
  これによれば登録手話通訳者の70%が1ヶ月当たりの依頼数が10回以下です。
  仮に1回当たりの依頼時間数が2時間程度としても、1ヶ月に働く時間は20時
間です。時給2000円でも4万円にしかなりません。
  20時間なんて、私の労働時間の2日にも満たない数字です。1ヶ月のうち、
2日しか働けず、残りの日は何をすればいいと言うのでしょう。これでは、生
活していくための職業になるはずがありません。別の言い方をすれば、少ない
仕事を多人数で薄く広く分担しているような感じもします。これはあまりに効
率が悪すぎます。

  ということで、まず需要が少ないのではないかという疑問があります。

----------------------------------------------------------------------

  次に通訳者の養成を見ていきましょう。

  報告書では養成機関として、国立身体障害者リハビリテーションセンター学
院、世田谷福祉専門学校、仙台福祉専門学校、日本福祉教育専門学校、瀬戸内
短期大学、金城学院大学をあげています。
  これらを全部あわせると400人を越えます。多少脱落者がいるとしても、半
分生き残れば、毎年200名が手話通訳者として2年間みっちり勉強して卒業する
わけです。

  各都道府県4名ずつ。それも毎年。
  皆さんの地域で、それだけの通訳者の雇用を用意できますか?

  そう考えると十分な人数が養成されているように思えます。
  つまり、供給過剰なのではないかという疑問があります。

  さらに、市町村単位での養成講座があります。報告書では再編を提案してい
ますが、私は問題はそうではないと思います。必要なのは、再編ではなくて廃
止だと思います。

  報告書に寄れば、国リハや世田谷を卒業して、すぐに手話通訳士に合格する
のは年に数名とのことです。2年間みっちり勉強した人でも、それぐらいなの
です。
  では、再編後のわずか120時間のカリキュラムを受ける人は、一体どこを目
指しているのでしょう?

----------------------------------------------------------------------

  報告書と同じ調査結果を見ながらも、私は通訳者の雇用については、報告書
とは大きく異なります。
  報告書の目指す方向は、魚の養殖のように感じます。とにかく大量に作れば
なんとかなるというような。
  私は競走馬のサラブレッドのように、少人数を手間暇かけて育てるべきだと
考えます。その上で、その人達には、十分な仕事を確保する。
  現在の養成講座は、市町村職員、医療・消防・公共交通機関従事者への入門
的な研修に振り替えた方が有用だと思います。

----------------------------------------------------------------------

  報告書でいまいち切れ味が悪いのは、もう一つあると感じています。
  それは通訳のニーズです。

  手話通訳のニーズ調査であげられているのは、医療、緊急時の対応(災害や
電車遅延などの交通事故等)、地域活動(PTAや町内会など)があげられています
が、これ以外にとても大きな潜在需要があります。

  それは「個人的なこと」です。

  調査結果では、色々な項目に埋もれてしまっているようですが、旅行や買い
物などの個人的に楽しみのための活動や、仕事でも営利活動の範囲、冠婚葬祭
などを積み上げると、3割を越える人が欲しいと思っているように感じます。

  私が買い物好きだからからしれませんが、これは大事なことだと思います。
  先日、車を買ったとき、同時にカーナビも買ったのですが、あれは店員さん
の説明がなかったら、とても自分の思ったものを買えなかったと思います。も
ちろん、車も。今の手話通訳派遣制度は、そういうときには全然使えませんよ
ね。その結果、これから長く使う製品なのに、あったら便利だった機能がつい
ていないものを買ってしまったりするわけです。

  公費で保障すべきとは思いませんけど、10割負担であっても欲しいときもあ
ると思うんですよね。そこには、通訳者の雇用問題解決の糸口もあるような気
がします。

----------------------------------------------------------------------

  今週末は、いよいよ本部運営委員の山形惠治氏の講演会があるので、率直に
疑問をぶつけてきたいと思います。非会員でも参加できますから、千葉在住の
人はどうぞ、ご参加ください。再構築委員会の資料も先着100名に実費配布す
ることになりましたので。(300円ぐらいになるそうです)
  10月22日(日) 千葉県青少年女性会館 13:00からです。

  では、次回の不定期の語ろうかをお楽しみに。

----------------------------------------------------------------------
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して
発行しています。http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000038270)
----------------------------------------------------------------------
■登録/解除の方法
  メールマガジン「語ろうか、手話について」は、以下のURLよりいつでも
  登録/解除可能です。
    http://www.mag2.com/m/0000038270.htm
    http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/kataro/
■バックナンバーの参照
    http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/kataro/
    http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000038270
■掲示板
    http://www64.tcup.com/6411/tokudama.html
    補助的な情報を掲載しています。編集者への連絡はMailをお使い下さい。
■苦情、文句、提案、意見など
    Subjectに[kataro]を入れて、以下のアドレスまでMailをお送り下さい。
    個別には返事ができないかもしれませんので、ご了承下さい。
      tokudama@rr.iij4u.or.jp
======================================================================
○メールマガジン「語ろうか、手話について」(月1回以上 発行)

発行: 手話サークル活性化推進対策資料室
編集: 徳田昌晃
協力: 五里、おじゃまる子、くぅ(ヘッダ作成)
発行システム: インターネットの本屋さん『まぐまぐ』http://www.mag2.com/
マガジンID: 0000038270

■意見、文句、提案、投稿は、居住都道府県名と氏名(匿名可)を添えて
  tokudama@rr.iij4u.or.jpまで送って下さい。
■メールマガジン「語ろうか、手話について」は、著作権は徳田昌晃に所属し
  ますが、基本的には転載・複写自由です。有効にご活用下さい。
======================================================================