この手の形の手話は何?
(C) TOKUDA Masaaki
最終変更日 1999年11月6日
はじめに
手話の辞典を作る研究が結構、はやっています....はやっていると思う。その
中で特に手話から日本語を検索する方法の研究が盛んに行われていますが、現
在のところ、手の形や腕の動きなどから検索する方法が主流になりそうです。
「これは使える!」と思ってゲームの形式にしたのが始まりです
.... と言いたいところですが、実は同じようなことは日本各地で考えられて
いたようです。うーん、考えることは皆同じってところでしょうか。話を聞い
ていくと、かなり前から似たようなゲームが行われていたようです。どこでも
大好評というのも全く同じ!
ということで、バリエーションも様々なものがあるようですが、その中から
「てのひら」方式を御紹介しましょう。
準備
- 用意する道具
- ホワイトボード(両面)、マジック(2本)、時計
- 準備
- 2つのグループに分かれる。グループをボードで区切る。これは隣のチー
ムの手話を見せないため。
- マジックを持つのは聾者にする。これは声で回答されるのを防ぐため。
- 司会はテーマを3つぐらい考える。
- 声を出してはいけないことを説明する。「声を出すと、他のチームのヒ
ントになっちゃうよ」と言うとねらいがわかりやすい。
ゲーム開始
- 司会がテーマを発表する。具体的には
- 指文字の「ひ」を使う手話
- 両手の形が異なる手話
- 片手の手話で動きのあるもの
- 顔と接触がある手話
といった感じです。時間を区切る(3〜5分ぐらいが適当)ことを宣言しておきま
す。
- ゲームスタート! 各チームはテーマに該当する手話を考え、書き役に伝
えます。書き役はそれをどんどんボードに書き出していきます。(書き役は1チー
ム1人)
- 時間が来たら。そこまで。両チームに片方のボードが見えるようにして、
テーマに該当する手話かどうかを検査します。日本語が違って手話が同じなら、
一つにまとめます。単語をひとつひとつ確認して、相手チームからのクレーム
を待ちます。やるとわかりますが、微妙な駆け引きが生じます。ここは司会の
腕の見せどころ。片方のボードが終ったらもう片方をやります。
- 数の多いチームの勝ち。次のテーマに進みます。
その他
- ホワイトボードがない場合は、複数チームにして、模造紙とマジックで
机を用意します。机で行うことと複数チームにすることで、目線を下に向けさ
せ、雑音が大きくなるので、隣のチームの答を見にくくするので、目隠し効果
が生まれます。
- このゲームのポイントは日本語と全く離れ、純粋に手話だけの知識で勝
負できるようにする点です。答の記録などで日本語の表記に引っ張られないよ
うに注意する必要があります。例えば「楽しい」と「嬉しい」は同じ単語とし
ます。このような配慮をすることで、手話が日本語とは違う語義(意味)がある
ことが認識できるようになります。
参考例
例題と回答例をあげておきます。参考にしてください。
- 「ひ」の形を使う手話 (1本指の手形)
- 努力、遊ぶ、1年、明日、昨日、サービス、少しずつ、思う、不思議、自然
- 「さ」の形を使う手話 (握り拳)
- 年、大変、材料、アイロン、持つ、頷く、仕事、都合、リンゴ、島
- 両手が同じ形の手話
- 犬、ウサギ、会社、春、仕事、家、頼む、部屋、社会、団体、泣く、ルール
- 両手を使うけど、手形は違う手話
- 努力、家族、年、社長、郵便、季節、締め切り、読む、選ぶ、島
- 片手で動きがある手話
- 行く、飛行機、青、昔、昨日、悪い
- 顔を使う手話
- 思う、仙台、横浜、おいしい、赤、口、嘘
小難しい話
このゲームもマジカルバナナ同様、手話の形態素の研究をヒントにしてい
ます。ネタ作りには「手話日本語大辞典(廣済堂出版)」が参考になるでしょう。
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